【暗号の歴史】アラン・チューリングがイギリス紙幣になるそうです①

アラン・チューリングとは?

私は学生時代、暗号の研究をしていたので、当然、アラン・チューリングのことは知っています。

アラン・マシスン・チューリング(Alan Mathieson Turing 1912年6月23日 – 1954年6月7日)イギリスの数学者、論理学者、暗号解読者、哲学者、コンピュータ科学者。(Wikipedia)

誰一人として使っていない現代人はいないであろう、PCやスマホの原始的なモデルであるチューリングマシンを提唱した偉人です。

中央大学の辻井重男先生が書かれた歴史本の中には、彼の生涯の2大功績の片割れである「エニグマの解き方」について詳しく書かれていました。

今日は、この本について少しお話しします。

暗号と戦争

暗号の歴史は戦争の歴史です。ポツダム宣言以前は、戦争以外の目的でまともに暗号が使われた話はありません。

戦争を繰り返し強力な武器が発明されるように、暗号もまた数学的な発展を遂げてきたのです。

こんな昔話があります。

A国とB国は、戦争を目前に控える険悪な状況にありました。そんな状況下で、A国のとある画家がB国の捕虜として捕らえられてしまいました。

ある日、A国に残る画家の妻に、捕虜になった夫から『妻の似顔絵』が届きました。絵を手にした妻は違和感を覚えます。

筆遣いや色合いなど、その絵は間違いなく自分の夫が描いたものですが、何かが不自然です・・・

妻は思い切ってその絵を破りました。すると紙の下にもう一枚紙が隠されていたのです。そこにはこのようなことが書かれていました。

“牢屋の前で兵士が話しているのを盗み聞いた。〇月×日の△時に攻めてくるらしい”

妻は慌てて国王にこのことを伝え、見事A国は戦争に勝利しました。

妻だけが違和感を感じ取れたというのが、この話のミソです。

似たような話で、穴の開いた板を使うものもあります。一見すると普通の手紙なのですが、板をかぶせると、穴抜けのところの文字だけで、本当に伝えたかった言葉が浮かび上がってくるというアレです。みなさんも一度は見たことあるのではないでしょうか。

さまざまな暗号

このように、その場にあるメッセージが暗号文だと他者に気づかれないように隠蔽した暗号化をステガノグラフィー(steganography)と言います。

一方、我々が現代使っているものはクリプトグラフィー(cryptography)です。

明らかにそこに暗号化された暗号文があるけど、解き方がわからないといったものです。

例えば、シーザー暗号は何文字か文字をずらして暗号文にします。

こんにちは→さあぬつひ 

といった具合です。この場合は1文字ずつずらしていますね。この「1文字ずつ」というのがこの暗号のカギ(key)であり、「ずらす」というのが暗号化関数(Encryption)です。「元通りにずらす」のは復号(Decryption)にあたります。

次回は、クリプトグラフィーについてご説明いたします。

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西園寺
  • 西園寺 ( / )
  • 社会人3年目、楽しく人生を送りたいと考えて、思い切って以前から興味のあった業界に飛び込みました!慣れない環境に奮闘しつつ、成長する様子を綴ります。

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